読書会で紹介された本 その10
『読書嫌いのための読書会』in 広島
第10回 が終了しました。
【今回紹介された本】
『この世界の片隅に』 こうの史代
1940年代ごろの広島を舞台に、1人の女性を中心にその周りを取り巻く人々と日常を描いた作品。
その日常と同時に、誰もが知っている広島に起こった悲劇へのカウントダウンが静かに進行していきます。
戦争をテーマにした作品は悲劇として語られるか、戦うことのカッコよさを強調したりか、何かしら作者の考え方が出ていて、説教をされているような感じになりがちですが、この作品はそういった作者の主張が丁寧に取り除かれていて、本当にフラットな目線で淡々と1人の女性の日常を見ているような感覚になりました。
作者は、戦争を肯定するでもなく否定するでもなく、普通であることを幸せと感じろというわけでもない。
ただ1人の普通の女性の半生を見て、それぞれがどう感じたか?
それがこの作品の価値だと思いました。
だからこそ、見た人それぞれの感想は違っていいし、いろんな人に読んでほしい作品だと感じました。
『凍りのくじら』 辻村 深月
主人公に感情移入できるかできないかで、評価が分かれる作品だと思います。
ドラえもんの豆知識が散りばめられていて、懐かしさなどを感じたり出来るのは面白いですが、主人公の人を見下す態度や、主人公の元彼の狂気などは読んでいて楽しいものではなかったです。
ただ、ラスト1/3から急に面白くなっていく展開には興奮しました。
万人受けするような内容ではないですが、自尊心のやり場に困っている人や、周りとの接し方に悩んでいる人などは、一度読んでみてはどうでしょう。
『それでもこの世は悪くなかった』 佐藤 愛子
2度の結婚に失敗し、事業に失敗した夫の2億円の借金を完済して今なお生き続ける強い女性の人生を綴った作品。
題からも伝わってくる、誰のせいにもせずに生きていく、佐藤さんの強さが伝わってくる作品です。
正々堂々と生きる人には誰も勝てないのだと感じさせる人生です。
今、元気がない人に読んでほしい一冊です。
また今回の読まない読書は、カフカの「変身」にチャレンジしてみました。
なかなか衝撃的な作品でした。
100年前に刊行されたとは思えないような、現代につながる普遍的なテーマの作品であるような感じがしました。
そちらはまた別にアップしようと思います。
読んだことのある人は、内容を知らないやつらが四苦八苦する様子を楽しんでください。
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