読書会で紹介された本 その6
『読書嫌いのための読書会』in 広島
第6回 が終了しました。
【今回紹介された本】
『デビルマン』永井 豪
中二男子に邪気眼とトラウマを与えてくれる名作漫画。
食物連鎖で人間より強い存在「デーモン」が現れた時、人類はどういう行動をとるのか。
人の心の闇や、家畜を殺して食べることは良いことなのか、神とはいったい何なのか?
30年前の漫画ながら、いまだに普遍的な問題提起をしてくれる良作です。
『全体主義の起源』ハンナ・アーレント
ナチス政権などの独裁体制が人々に与えた影響とそういった状態に陥らないようにするためのあり方が書かれています。
独裁制やファシズムには「物理的には異なる複数の人間をあたかも1人の同じ人間であるかのように感じさせる力」が働くことに気付いたアーレントは、それを掘り下げて、どういったメカニズムでそれらの体制が生まれ、存続されるのかを明らかにしました。
そのうえで、我々はどうすればいいのかを訴える長編哲学書です。
下の「人間の条件」と合わせて彼女の思想を代表する作品です。
『人間の条件』ハンナ・アーレント
独裁やファシズム、大衆社会や消費社会、人々の無関心、無思考状態など、さまざまな現代の危機を救うために、人間1人1人が持つべき姿勢を表そうとした1冊。
本書では、人間が日々とっている行動を労働(labor)、仕事(work)、活動(action)の3つに分け、古代ギリシアの「公共の在り方」の再生を促しました。
また、彼女は2種類の「公共性」を唱えていて、人々が集まって言葉を交わしたりする際に生じる一時的な公共性と、人工的な工作物である1つのテーブルでさえもその周りに人びとが集まるならば、それは人を結びつけたり分離させたりすることで、時間を超えたつながりを形成するという、歴史や文化の概念に似た「公共性」。
多様化する社会で、得体の知れない他者や公共に働きかけたり、かけられながら、新しい世界を切り開いていくヒントが書かれています。
『何者』朝井 リョウ
本書に描かれている人物はどの人にも共感してしまうほど、ごく身近な5人のドラマ。
誰か1人に共感するのではなく、様々な登場人物に共感してしまうような、どの人物にも自分の一部が入っている。
就職活動を巡り、SNSや口から出る言葉に真実はなく、どんなに長い付き合いの友人も、優越感を感じたいあまりに他人や自分を裏切ります。
ただそれは同時に読者自身でもある。
「桐島、部活やめるってよ 」の著者が描く、リアルな若者の心境を描いた1冊。
『焼きそば うえだ』さくら ももこ
さくらももこの傲慢さが際立つ作品。
それゆえに、笑える人と笑えない人にハッキリと分かれるエッセイ。
ただ、同時にさくらももこを囲む周りの人々の魅力も伝わってくる作品。
そして、個人的に将来こんな集まりが出来たら楽しそうだなあと思いました。
残念ながら、バリの「焼きそばうえだ」はもう閉店したみたいですが、バカな人間が集まってバカをやりたい人、毒のある笑いが好きな方に見てもらいたい1冊です。
『カラフル』森 絵都
「誰しも1色だけの色を持っているのではなく、カラフルなのだ」
というテーマが作中にずっと流れている。
少ない登場人物ながら、1人1人のさまざまな側面がしっかり描かれていて、作中の人物の魅力が伝わってきます。
表面に現れたものは、その人の1つの色でしかない、それがだんだん分かってくるのが「大人」だと思いますが、普段は忘れがちで、反射的に怒ったり傷つけてしまう。
そういったことを思い出させてくれる意味でも、子供から大人まで読める、普遍的な名作です。
ちなみに、アニメや実写映画にもなっています。
今回も色んな作品が取り上げられて、各自発表型の読書会の良さが出てきました。
普段読まないジャンルの本の紹介を受けて、自分の経験や知識とつながるのがとても楽しいです。
それに誰かからおすすめの本を聞かれたときに紹介できますし。
そして、初めは座って発表という形式が主だったのですが、だんだんとホワイトボードを利用するようになってきました。
いい熱量です。笑
というわけで、次回も予定通り第2土曜日の18:00から開催です。
参加希望の方は以下からお願いいたします。
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